NO.22 「テレビのつけっぱなしは×!」 03.12.02


 先日、全埼玉私立幼稚園連合会の研修で、明治大学教授・心理カウンセラーの三沢直子先生の講演を聞く機会がありました。
三沢先生は、長年にわたりHTPテスト(家と人間と木を入れて絵を描いてくださいとの課題を出し、描かれた絵で心理状態を判定するテスト)などを使用し、社会的不適応などを起こした人を治療している方ですが、同時に幼児や子どもの発達についても深く研究をされています。
最近では、自治体からの要請で母親の皆さんを対象とした「子育て教室」も行っており、その際に感じていることを、できるだけ一人でも多くの子育て中の方に伝えたいという思いでお話をされていましたので、今日はその部分だけでも皆さんにお伝えしたいと思ってこのサイトに記します。

結論から先にお伝えしましょう。それは、
「特に乳児・幼児のいる家庭で、テレビをつけっ放しにしていてはいけない」ということです。

それはなぜか…。幼稚園や保育園に携わる人が集まると大抵話題になることに、最近の子どもは…「急に奇声を発する」、「友達と喧嘩になるといきなり噛みついたり、なぐったりする」子が多くなったということがあります。

三沢先生によれば、このような子は「自分の意志を伝えるために
言葉があるとの認識が育っていない」子で、当然ながら「言葉が遅い」などの面を持ち合わせているそうです。言葉で伝えられない…か、言葉で伝えるという認識がない…から、奇声を発したり、噛んだりするわけです。
そしてそういった面を助長しているのが「テレビ」の存在です。テレビの音声は一方通行です。子どもが話しかけても答えてくれるわけはなく、声と声、心と心のキャッチボールということはまるでできません。幼い子は、お母さんや保護者の掛けてくれる声によって言語を獲得していき、同時に自分も発して答えてもらうことによって、「言葉というものが自分の意志を伝えることができる大切なものということを認識するのです。


三沢先生は、若い保護者の方を対象に「子育て教室」行っている感触から、50%位か、それ以上の乳幼児のいる家庭で、在宅時間にずっとテレビがついているのではないかとおっしゃっていました。こういったことが続いていくと現在もう現象として現れてきてしまっている「いきなりキレる子」。「他人とコミュニケーションがとれない子」。などがどんどん増加していく可能性が大となるだろうとのことでした。

現代社会において、「テレビを見ない」というのは無理な話でしょうから、見たい番組だけを見、あまり見たいと思わない時は消しておくようにするのが、特に小さいお子さんのいる家庭では必要なことでしょう。このことは、しらさぎ幼稚園からも、皆さんに切にお願いしたいことです。
さらに保護者の方の声で「読み聞かせ」をしていただければ
「言葉」というものの暖かさが直に伝わり、それはお子さんにとってかけがえのないものとなることと思います。