NO.25 「区切られた空間が好き」 04.5.11

 
    
いつも人気のレッドハウス。

  園庭に「レッドハウス」という遊具がある。なんのことはない、木でできた小さな家だ。でも中には小さなベンチがあり、軒先には段違いのカウンターまである。また、小さなサイドテーブルもついている。
  子ども達にはとても人気があって、たいていいつも誰かが遊んでいる。
  ある時は、ハンバーガーショップ。ある時は普通の家。またある時はレストランや、ドーナツ屋さんになっている時もある…。もちろん子ども達の頭の中での話だ。
  時と場合に応じて何にでもなる…そう、何でもないから、何にでもなる不思議な家。これは子どもの発達にとってすごく良い、何より子ども達が自分で遊びを造り出せる遊具である。

 でも、人気の秘密はもう一つあると思う。この家が、明確に外部から「区切られた空間」であるということだ。
子どもは本能的に、この「区切られた空間」が好きだ。
どこの家庭でも経験があると思うが、家具や大きな家電製品が入っていたダンボールに子どもが入って楽しく遊んでいたということがないだろうか。
 以前テレビ番組で実験していたが、チンパンジーの子どもに同じようなダンボールを見せたところやはり人間の子どもと同じように喜んで中に入って遊び始めた。外部から「区切られる」ということは、外敵から身を守る第一歩なわけで、動物全体に備わっている本能的な行動なのだと学者が解説していたのを思い出す。

 これが発展した遊びの形に、大体8-10歳位の男児が野山でよくやる「秘密基地」の建設があるけれど、子どもにとって、この「区切られた空間」を使った遊びは、体の底からワクワクする遊びだということは容易に想像できる。

 そんなわけで、今度でもけっこうです。子どもが空いた大きなダンボールに早速入って遊びはじめたら、
「そんなとこに入って遊んでるんじゃないの!」と言わないで、ああ、これは動物本来の本能に基づいたとてもよい遊びを始めたな…」と思って暫し許してあげてください。クレヨンなどでダンボールの家や秘密基地に絵を描いたりしても、とても楽しく遊びが発展します。捨てるのはそれからでも決して遅くはありません。