NO.30 「読解力低下第1位」 05.1.13

昨年末報道されたことだが、OECD(経済開発協力機構)が世界41の国に対して行った学力調査によれば、日本は数学的活用力は6位(3年前の前回は1位)、科学的活用力は2位(2位)。読解力は14位(8位)、今回初実施の問題解決能力は4位だった。
特に気になるのが読解力の低下である。
何と、全41参加国中、最大の下げ幅だそうだ。

なぜこれ程低下したかというと、得点の低い層の大幅増にある。得点を「レベル5〜1、1未満」の6段階に分けた分析によれば、日本の「レベル1未満」は7.4%(前回2.7%)と全加盟国平均の6.7%を上回っている。この「読んでもほとんどわかんねーレベル」はフィンランドは1.1%、韓国は1.4%しかいない。今までの日本の特徴は平均層が厚いことだったが、得点上位のレベル5、4と、一番低い1未満が加盟国平均より多いという「読解力2極化」の結果となった。

また「趣味としての読書」はしないと答えた生徒の割合も、41参加国中最も高く1位となった。読書習慣のある生徒が読解力が高いことは、前回の調査からも明白だそうだ。

読解力が低下しても、数学とかはそれ程低下してないからまあ、いいか…とも言えない。
実際読解力不足で、例えば「太郎君はお母さんに500円もらってお店に行き、150円のチョコレートと100円のキャンデイを買いました。残りのお金はいくらでしょう」という文章題を「読解」できずに解けない子もいるようだからだ。

この問題を取り上げた報道番組で、ある新聞の編集委員が「読解力の低下は即ち思考力の低下であり、最も懸念すべきことだ」と述べていた。正に同感である。

自分で思考することをせず、浮草のようにただ社会の流行に流されていく人間…。このような人間になってほしいと思う保護者や教育者がいるはずがない。

41カ国中の最低を2つも記録してしまった事実を厳正に受け止め、今年も子ども達をとりまく環境に大河の一滴、雨の一雫をもたらさんと、決意を新たにした次第である。