NO.33 「読み聞かせの魔法性」 05.4.21

 当園で「絵本の読み聞かせ」を保育の中心にしてから、早10年が経過したが、つくづく感じるのはその「魔法性」である。

それも驚くべきことに、この「魔法」はホグワーツで学んだ!?特別な者にしかできないものではなく、誰でも実行すれば必ずと言って良いほどそれを実感できることだ。

まず、最初。
「読み聞かせ」を毎日続けて行くと、やがて子ども達はとてもよく話を聴けるようになる。
担任が読む絵本の世界にクラス全員の幼い子が入り込み、一心に集中して聴いている。
この光景を目にすると、誰もが「まるで魔法にかかったよう」と感じるだろう。なぜならついこの間まで、人の話をじっとして聞いていることなどほとんどなく、好き勝手に動き回ることばかりだった子どもがこうなるのだから。

次に、
さらに「読み聞かせ」を続けていくと、それこそ心が育ち「思いやりのある子」になっていく。これも本当である。絵本の中で「自分」を登場人物に置き換えて物語を体験する。このことを繰り返すと「他人の立場に立って物事を考えられるようになる」のだ。「心を育てる教育をしましょう」というが、このことを具体的に実現できるとても有効な方法が「読み聞かせ」である。事実毎日実践した学校では、いわゆる「学校の荒れ」が解消していっている。

そもそも「絵本を読んでもらうこと」が嫌いな子どもは一人もいない。
「絵本」は誰かが子どもに読んであげるということを前提に作られているので、子どもには「読んであげる人」が必要なのだ。(たとえ字を読めるようになってからでも…)

そして「読んでもらっている時間…」は子どもにとって無条件に幸せな時間だ。その時間のこと、読んでくれた人のことは何年経ってもちゃんと「幸せの記憶」として残っている。

お子さんをおもちの方、少しでも子どもに関わることがある方は是非毎日(5分で可)「読み聞かせ」をしていただきたい。
このコラムに繰り返し書かせてもらっているけれど、今子ども達を不幸にしつつある様々な問題を解消していくためには、この「読み聞かせの魔法」に頼るしかないからだ。