NO.38 「文字が読めても読んであげよう 」 05.11.17

 
 (熱心に話をされる齋藤先生)                      (真剣な眼差しでメモをとる受講者)
さいたま市私立幼稚園協会・南区支部の父母研修会、また同浦和・緑区支部合同の教員研修会の講師を勤めていただいた児童文学者の齋藤惇夫先生をお招きし、当園保護者会主催で「子育て教室」を行うことができた。

 演題は「子どもの成長と絵本」ということだったが、当幼稚園が読み聞かせに力を入れているということを念頭に入れてくださり、前半は、いかに日本の子ども達がメディア漬けとなり、その健やかな成長を阻害されているかを力説されていた。
 そういえば去年のカッターナイフ同級生殺人。最近も、実の母親の毒殺未遂や、50箇所も包丁で突き刺して同級生を殺害した高校生の事件やら、こういった事件が止む気配はない。
 少しでもこのような状況を少なくしようと、「子どもに愛情を注いでください」「その方法として、絵本の読み聞かせは、誰でもすぐにできて、確実に効果がある方法なんです」と保護者の方にお願いするためにこのサイトを書き、幼稚園をやっているようなものなのだが、斉藤先生も長年絵本の編集者として子ども達の為に尽力されてきた方なので、思いは同じなのだろうと勝手ながら感じた。

 後半は、具体的に良質な絵本の紹介やそのリストの紹介、読み聞かせの方法の話となったが、その中で今回私の心に残ったのは、「もし子どもが字が読めるようになったら、以前の3倍読んであげよう」とおっしゃったことだ。
 小学生になって子どもが自分で字を読めるようになると、私も含めて多くの親は、「もう字が読めるんだから自分で読みなさい」と突き放してしまいがちである。
 先生によれば、1.日本語はアルファベットと違って「あいうえお」が読めれば一応本を読むことができるので、欧米に比べて早く読んであげることをやめてしまいがち。2.子どもが物語を安心して体験するには、信頼できる大人が一緒にいてあげる必要がある。ということで、目安として10歳までは読み聞かせを続けてあげて欲しいとのことだった。
 つまりは、小学校3−4年生頃までは「十分間読書」ではなく、「読み聞かせ」が望ましいということである。以前、このコラムにも記したが、このことを全国の小学校でたまに来るボランティアに頼るのではなく毎日担任の先生が実践したら、著しい効果が現れるだろうと思う。

 最後に、「子どもが真の読書人となるかならないかの責任は一切子どもにはなく、その子に関わった大人がいかに多くの本を読んでやり、本による楽しみを与えたかによる」との言葉が胸に残った。