NO.39 「好きな本を読みましょう? 」 05.12.13

 朝の読書・読書タイム・10分間読書がかなりのところで実施されているようだ。

 とてもよいことである。

でも、それにともなって少し考えていただきたいことがある。

 それは、子ども達に「好きな本を読みましょう」という指導をしすぎていないかということだ。
「好きな本を好きに読む…」自由・子どもの自主性の尊重…良いことばかりのように見える。事実私も左の本を読むまではそう思っていた。

写真の本は、「読む力は生きる力」 脇 明子 著  岩波書店 刊である。この中に「何でもたくさん読みましょう」という読書指導…特に図書室の貸し出し冊数を競わせて読書量を増やすことの弊害が明確に記されている。

実は、子どもというのは当然ながら「選書の力」というものを持ち合わせていない。よい本に出会う機会は、沢山の絵本・児童書に精通した大人が彼らに積極的に与えなければいけないものだ。
つまり、子どもに関わる大人には、彼らに「良い本を選んで与える」義務があるということである。
裏を返せば、「悪い本は与えてはいけない」ということだ。

写真の本の帯に推薦の言葉を載せているのは、先月当園の子育て教室に講師として来ていただいた「齋藤惇夫」氏である。氏の講演が終わって質問の時間となり、参加者から、自分の子ども(小学生)が、学校の図書室からテレビ番組に関する本ばかり借りてくる…どうしたらよいか。という質問が出た。
齋藤氏は、そのような本が学校の図書室に置いてあるのが大変な問題で、選書というものを明らかに間違っていると指摘されていた。また、すぐに1.子どもに関わる全ての大人には良質な本を子どもに勧める義務がある。2.そのために図書館の司書の方と是非仲良くなりなさい。と述べられた。
 
本に関する確かな目を養い、子ども達ができるだけ良い本に出会う機会をつくる…。
もしかしたら、その子の一生の友・人生の支えとなる本に出会わすことができるかもしれない…。

そんなことを思って、これを読んでいるみなさん、一緒にがんばりましょう。