NO.4「千と千尋の神隠しを観て…」 01.08.21


                                    
 
−アニメ映画「千と千尋の神隠し」を観ました。−

 映画が終わり、テロップが流れ、主題歌の「いつも何度でも」が聞こえている時、感心のあまり、言葉が出ませんでした。
 更に感心したのは、プログラムの冒頭に監督である宮崎駿氏が書かれている文章です。この映画を何故作ったのか…宮崎氏の思い入れが全て盛り込まれています。
 前作「もののけ姫」では、本当に美しい日本の自然を描くと共に、自然と人間の共生を考える広大なるテーマが展開されていましたが、この映画の主人公はどこにでもいる10歳の少女であり、時代設定も現代の日本です。
 当代主流をなす、軽−い気持ちで観てしまえば、「何だか不思議な世界の話で、へんな神様やキャラクターがいっぱい出てくるんだよ。」で終りかもしれません。確かに、そういった観点からだけでも十分楽しむことはできますが、制作者の意図はそんなことよりもずうっと深く、現代の日本社会に向っての確かなる問題指摘と啓示なのです。子ども達や大人までも含めた「生きる力」、「自己判断力」の欠如、「言葉」というものを軽んじる風潮、自国の文化への無理解、無関心など、宮崎氏が感じている様々なことがメッセージとして描かれています。実をいうと、こういう私も日々ほぼ同じことを感じており、それを何とかしたいから幼稚園という仕事をやっているといっても過言ではないのです。まあ、影響できるとすれば宮崎氏の何百万分の一でしょうが…。
 とにかく、まだご覧になっていない方は是非とも映画館に足を運ばれることをお勧めします。それと、できればプログラムもお買い求めになれば、先述のこの映画のもつ深い意味と、宮崎氏の素晴らしい文章に触れることができます。
 それにしても、いつかは宮崎氏のような素敵な文章を書き、そしてすばらしい仕事をしたいものです。それにはあとどれくらい研鑚に励めばいいか…。