NO.43 「穂高涸沢で考えたこと 」 06.09.20

 私事で恐縮ですが、今年の7月末に北アルプス涸沢(からさわ)でテント泊をし、北穂高・奥穂高・前穂高岳に登ってきました。
 3千メートルを超える山に登るのは、去年の富士山に続いてですが、実は北アルプスに行くのは初めてです。
 定石通り、上高地から入山したのですが、上高地から約6時間歩くしか交通手段の無い穂高岳下の涸沢に着いて感じたのは、左の写真のような空の大きさ・青さの他に「空気のきれいさ」でした。
 有名観光地「上高地」も一般車両の進入は規制され、低公害のハイブリッドバスでしか入れないというものの、普通のタクシーや土産物や食材の納品車などは通行が認められていて、おまけに観光客で溢れているからさらにそう感じるのかもしれませんが、そんなに「空気がきれい」とは感じませんでした。
 ところが森の中を歩いて、徳沢→横尾と進んでいくと、どんどん空気が良くなっていくのが感じられます。ついでに言うと側を流れる梓川も、次第に水の清冽さ、青さが増してきます。

 この前ある雑誌を読んでいたら、春先に多くの人が悩まされている「花粉症」は、花粉だけのアレルギー反応ではなく、花粉に主に排気ガスの粒子(科学物質)が付着して起きているという説が載っていました。私は関東地方に住んでいますが、普段あまりきれいな空気の中で暮らしていないせいで感覚が麻痺しているらしく、このように本当にきれいな空気の中に来ると、あらためて普段の空気との差に気がつかされます。
 私も普段何気なく自動車を使用していますが、このような良質の空気を吸うと、無駄なアイドリングや車の使用は極力控えようと真剣に思いました。
 また、このような空気の所で子ども達が成長すれば、体も丈夫になり、アレルギーや、イライラしてキレる子なども減るのではないかなとも考えました。食べ物はある程度選ぶことが出来ますが、周りの空気を選んで吸うことはできませんから…。

 涸沢では、幼稚園位の女の子と小学生の男の子の兄弟が両親に連れられてキャンプをしているのを見ました。両親共に山の経験がかなり豊富なようでしたが、このような、言うなればどちらかというと人間界より天上界に近いような所に連れてきてもらえて、本当に幸せな兄弟だなと思いました。きっと一生の思い出となったことでしょう。多分夜、肉眼で本物の「天の川」を見ることもできたでしょうし…。