NO.48 「石井桃子とピーターラビット展を見て」 08.09.16

  在園児の皆さんには、園だより9月号の裏表紙にてお伝えしましたが、桶川市にある「さいたま文学館」にて行われていた「石井桃子とピーターラビット」展に行ってきました。写真はその看板とパンフレットです。

 石井 桃子さんは本年4月、101歳で亡くなられましたが、さいたま市(旧浦和市)の出身で、童話作家としては「ノンちゃん雲に乗る」「ちいさなねこ」などが有名です。また、翻訳家としての活躍も素晴らしく、皆さんよくご存知の「くまのプーさん」、「ちいさなうさこちゃん」、「トム・ソーヤーの冒険」そして「ピーターラビット」シリーズと多くの名訳を残されています。

 また、子ども達に良い本をたくさん読んでもらいたいという思いから、自宅を改装して「かつら文庫」という家庭文庫も開いており、そのことからも本当に子どもと本のために尽くされた人だったということが伺えます。

 翻訳の仕事にとりかかる前、石井さんは今一度勉強をしてからということで47歳でアメリカに留学、そしてピーターラビットの翻訳に着手する時は、現地を見てみないことには翻訳にとりかかれないという思いから、ピーターラビットと作者ポターの故郷、英国湖水地方のニア・ソーリー村を訪ね、しっかりとその風景を心に刻みつけてからとりかかったということをこの展示を通じて知ることができました。読み手となる子ども達のためには一切手を抜かず、本当に真剣に仕事に取り組んだ方だったということに改めて感服いたしました。

 上の一番右の写真は、ピーターラビットの翻訳への取り組みをまとめたパンフレットのページです。日本語の表現、文字の配置についてまで考え、手が加えられたことがわかります。何度も版を重ねているピーターラビットシリーズですが、石井さんは再版のたびによりよい訳を追及し手を加えていたそうです。そのこともあってか、1974年に第11回日本翻訳文化賞を「ピーターラビットの絵本」により受賞しています。

 最後に2001年、杉並区立中央図書館で行われた展示に際し、石井さんから子ども達に寄せられた言葉を皆さんに紹介します。

   子どもたちよ
 子ども時代を しっかりと
   たのしんでください
   おとなになってから
   老人になってから
 あなたを支えてくれるのは

 子ども時代の「あなた」です。

           石井 桃子