NO.50 「1095:0?」 09.03.04

  最近の文科省の調査によると、現在の小学生は大体一日平均3時間位テレビやDVDを見ているようである。http://kaigi.edublog.jp/ECAB04B2/
  単純計算すると、一年365日×3時間で、年間1095時間だ。4時間以上見るという子も結構いるみたいだから実際はもっと多いかもしれない。
 方や「読み聞かせ」や「読書」。不幸にして、これらに殆ど触れられない子もいる。毎日10分間読書をやっている等、読書指導に熱心な学校だと、登校日は年間で230日位だから10分×230日で2300分→38時間30分となる。当園でも平均毎日2冊位読んであげているからほぼ同じレベルだろう。(これでも1095:38だが)。
 問題は先述の殆ど触れられない子である。1095:0?では、もう勝負にならない。人の話をろくに聞けない子どもになるのは目に見えている。今、全国的に「話が聞けない」「集中力がない」「やたらにハイテンション」な子が増えていて、各小学校・幼稚園では対応に苦慮しているが、こんな現状では当然のことであろう。この影響に気がついたところでは「ノーゲーム・ノーテレビデー」を設けたりして対策をしているようだが、これに加えて家庭での読み聞かせ・学校での10分間読書が毎日のように実行されれば事態は急速に改善されると思われる。
 憶測で恐縮だが、一般的な家庭・幼稚園・保育園では、「読み聞かせ」は「たまに」または「週に何回か」。小学校では10分間読書が週1−2回というのが平均的なのではないだろうか。
これでは前述の「1095時間」に対抗するのは、ほぼ不可能だ。圧倒的に時間数が不足している。
 文科省は「ゆとり教育」の失敗による学力低下を改善すべく、今度は授業時間を増やすという。時間をかけて丁寧に教えてあげることは多くの子どもたちにとって良いことだと思うが「聞けない子」にとってはただ、苦痛な時間が増えるだけである。テレビ・DVDの他に「ケータイ」という新しい「メディア」の影響が多大化している今、必要とされているのは、まず家庭、次に教育現場において「読み聞かせ」や「10分間読書」が特別なことではなく、「日常化する」ということだろうと思う。現に世界的に教育レベルの高いフィンランドなどの北欧諸国ではそうなっているようであるし…。