NO.59 「シロクマの住む氷」 10.9.01

猛暑・酷暑・炎暑といろいろな表現をされて始まった夏休みも終わりました。でもまだまだ暑さは続きそうな気配です。日本だけではなく、ロシアのモスクワでも平年の気温より大幅に高い状態が続き、さらに山火事も発生して人々は難儀しているようです。新聞報道によると、「ラニーニャ現象」という南米ペルー沖の海水温が低い状態が観測され、これが世界的な異常気象の原因となっているようですが、当然ながら二酸化炭素の増加による地球温暖化の影響も否めないでしょう。

 産業革命後200年間、我々人間は地球に深刻なダメージを与え続けてきました。そのツケが自分に回ってきているともいえます。イメージしやすいことから説明すれば、野菜がとれなくなって値段が上がる…クーラーをつけることで電気代が嵩む…前述のロシアでは小麦が不作になっているようですから、今後パンの値段が上がるなんてことも考えられなくもありません。

 随分昔の話となりますが、1970年代に「オイルショック」ということがありました。中東情勢の変化により日本に石油があまり入ってこなくなったことが原因なのですが、エネルギー節減の目的で、ガソリンスタンドが日曜日に休業したり、ネオンサインの早期消灯が求められたり、テレビの深夜放送が休止になったりしました。

 が、今の状況をみるとどうでしょう。24時間、お店もテレビもやっていますし「エコ・エコ」と言われながらもそれ程危機感がないような気が、その時代を経験した者にはいたします。

 ある環境学者によれば、今の地球をタイタニック号に例えると、氷山にぶつかって船に穴が開き、もう沈み掛けているのに、人々はまだパーティルームで楽しくパーティをしている状態なんだそうです…。

氷山の話が出たついでに…。氷と言えば北極の氷の上に住むシロクマも氷が溶けて居場所が段々なくなり、絶滅が危惧されています。そんなことを少しでも考えてもらうよう、幼稚園の玄関には星野道夫さん撮影のシロクマの写真が飾ってあります。とてもかわいい写真です。「かわいい」と思ってくれたら…次のステップとして…「こういう動物達が昔はいたんだって」にしないように自らの判断で行動する大人に、子ども達が成長してくれればいいなと思っているのです。

*この文はしらさぎ幼稚園便りH22.9月号の冒頭文です。