NO.61 「停電の卒園式」 11.4.05

3月の18日、当園では無事平成22年度の卒園児103名を卒園させることができた。今年は3/11に未曾有の大災害となった東北関東大震災が起こり、被災地の方々の辛苦は想像を絶するものがあるが、お陰様で当園の園舎・施設には全く被害はなく、予定通り卒園式を行うこととなった。
例年通りではなかったのは、「計画停電」である。
第2グループに属する当園は何と3/18日の朝9:20から停電する予定となっていた。昼間なので電灯は消えても何とかなる。が音響設備は…。ということで年少組が遠足でお遊戯を行う時に使っている電池式のワイヤレスアンプを用意し、マイクの周波数をチェンジ。停電時には即座に使えるようにした。心配は子ども達がどうなるかということ。これも例年と大きく違い、地震の影響で一週間以上卒園式の練習・確認は殆どできていない。
 そして当日の10:02。正に卒園証書の授与中に停電となった…。
保護者席から、少々のどよめきが起きる。
が、子ども達はというと、一人として全く動ぜず、そのまま証書授与の流れが止まることはなかった…。
 正直に言うが、これには証書を渡しながら少なからず感動してしまった。そして次に、まだ6歳の子らにここまで「卒園式の場」というものを理解させる豊かな想像力を養ってくれた「読み聞かせの力」に感謝した。
 後で担任達に聞いてみたら、事前に保育室で「停電になってもあわてないでね」と軽く話をしておいた程度だそうだ。
きっとこれからも、これ程ではないにしても人が生きていく限り、色々な苦難・困難にあたることだろう。それを乗り越えるのも、実は「これをやったらどうだろう」「こうしたらもっと良くなるのではないか」という「想像力」によるのではないだろうか。
子どもは、この社会の未来を託す尊い財産である。今年卒園した103名は必ず、これからの人生を読み聞かせで培われた想像力によって立派に乗り切っていけるのではないかと強く思った。