NO.69 「生きる力は遊びが育む」 12.06.29

   
早いもので、新年度が始まってからもう3カ月経ち、まもなく夏休みを迎えようとしています。特に新入園の子ども達は、4月当初は不安な気持ちが一杯だったことでしょうが、この3カ月余りで段々と幼稚園生活にも慣れ、今ではむしろ登園し友達と遊ぶことを楽しみにする子が多くなりました。

 この「遊ぶ」ということ…「子どもは遊ぶことが仕事です」と言ったりもしますが、これは本当です。特に小さな子どもにとって「遊び」は大人の「仕事」のように本当に重要なことなのです。
 子どもは本来「遊ぶ力」を持っています。それを象徴しているのが「砂場」の光景です。砂と単純な道具で大抵の子が楽しく遊べます。どこの公園でも砂場は大人気です。
 ですが、その力は使わないと次第に鈍化します。それは、そういった単純な遊びより、より刺激的な「娯楽」によってです。
 人間は基本的に楽なことを好みます。スイッチを入れるだけで簡単に「楽しいこと」が手に入ってしまうことを沢山経験したら、面倒なことはするのが嫌になります。

(例:クーラーが効いた部屋でテレビゲームをしていつも楽しんでいたら、暑い中帽子をかぶって外に虫取りなんかに行く気はしなくなるということ)

 この例の前者と後者で決定的に違っているのは、自分自身の中での「工夫」があるかないかです。攻略本からの情報量と手指の巧緻性で高得点が導かれるテレビゲームに対し、虫取りで楽しむためにはかなりの「工夫」が要ります…。1.虫のいる場所はどこか?
2.その習性からどうすればとれるのか? 3.網などの道具の改良…等々、工夫がいるところは無限に広がっていきます。それも多分ワクワク感を持ちながら…です。

 そして、その自分自身で考えて「工夫」するということが将来…。1.勉強の仕方の「工夫」。2.なりたいものになるための「工夫」。3.仕事の仕方・段取りの「工夫」。となっていくのだと思います。これは即ち人間の「生きる力」です。
 つまり、子ども本来の「遊び」は「生きる力」を獲得させるための重要なステップと考えることができると思います。
 これから間もなく夏休みとなります。どうぞ各ご家庭におかれましてはできる限り夏休みでなくてはできない「遊び」を沢山させてあげてください。それがきっと将来その子の「生きる力」となってくれると思いますので…。

(幼稚園だより 平成24年7.8月号の言葉より )