NO. 7「ハリー・ポッター、ロード・オブ・ザ・リング…そして英国の伝統」 01.12.15


 映画化された、「ハリー・ポッターと賢者の石」が、大ヒットしているようだ…。
内容は、いろいろなメディアで取り上げられ、皆さんが既にご存知であると思われるからここでは触れないが、記憶によれは、第1作の「賢者の石」が刊行されてから世界中で大ベストセラーになり、第2作の「秘密の部屋」の発売予定日には、書店の前に大挙して子ども達が押し寄せ、発売を今か今かと待ち焦がれている様子がニュースとして放映されているのを見たことがある。(アメリカの話)
 日本のみならず、アメリカや世界各国で子ども達の「活字離れ」が進む中、今や「ハリー・ポッタ−」は救世主的な存在である。
 筆者のJ.K・ローリングは、英国人の女性だ。私事ながら、私も子どもと一緒に第2巻を読んでいる最中であるが、筆者の卓越した想像力には、ページをめくるたびに感心させられる。

 さて、この映画が大ヒットとなったからかどうかはわからないが、同じ英国出身の作家J・R・Rトールキンが1954年に書いたファンタジーの古典的名作、「ロード・オブ・ザ・リング」がやはりハリウッドで映画化され、そのワールド・プレミア試写会が、筆者に敬意をはらってロンドンで行われ、人々の賛辞をあびたと12/12のヤフージャパンのエンターテイメントニュースで報じられていた。
「ロード・オブ・ザ・リング」は、邦題「指輪物語」として全9巻が発行されているが、「ハリー・ポッター」をしのぐスケールをもち、あらゆるファンタジー作品の原点と言われながら、あまりの話の壮大さにこれまで映像化されなかったということだ。
先のニュースによると、「観客達は興奮と深い満足感に包まれた」と報じられてるので、ハリウッドが力を注ぐとかなりの出来映えになるのは、
「ハリー・ポッター」と同様なようである。(日本では、来春公開の予定とのこと)

 映画評論のようなことばかり書いたが、ここで本題…。「ハリー・ポッター」のJ.K・ローリング、「指輪物語」のJ・R・Rトールキン、共に英国の出身だ…。他にも英国には、ライオンと魔女などの話からなる「ナルニア国物語」のC・Sルイス、「不思議の国のアリス」のルイス・キャロルなど偉大なファンタジー作家が名を連ねている。
 なぜこういった作家が世に出てくるのであろうか…。
 以前、ハリーポッターがペストセラーになったことに付随する報道で、本国英国では、「クライマックスの章を子どもに読み聞かせるのに、どちらがやるかで、、父と母が争いになる」ということを耳にしたことがあった。
 考えてみれば、英国にはマザーグースや、古来から伝わる民話や伝説などが数多く伝統的に残っているし、それらを子ども達に話して聞かせたり、読んで聞かせたりといったことが古くから習慣として根付いていたのではないかと思う。
 大人になってからあれだけの想像力を獲得することは、はっきりいって無理だろう。子どもの…、それもとても感受性が強い時代に、両親や祖父母から、妖精や、鬼、森の小人などの話を何度も何度も聞かされて育ったからこそ生まれるものではないだろうか。
 こんな、「数値に表れない力」こそ、その人間にとって何よりの財産であろう。それが突出して現れると、世界中の子ども達の心をとりこにすることも可能になるのだ…。
 そこまではいかなくても、日々接する子ども達の人生を豊かにするため、その「数値に表れない力」を養っていってやりたいものだ。