NO.72 「遠くで支えるもの」 12.01.09

 もう、松の内も過ぎてしまいましたが改めましてあけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 昨年の夏は暑かったのですが、今冬はそれに反するように寒さの厳しい日が続いているような気がいたします。日本海側の雪も例年になく多いようで、除雪の予算が足りなくなりそうな自治体が沢山出てきそうな勢いとも聞きます。

 年末のある日、野田小学校の近くのT字路を曲がって見沼田んぼの方へ降りていくことがありました。道が大きなカーブに差し掛かった辺りで条件が良いと富士山が見えるのですが、その日に見えた富士山の山頂はちょっと変わっていました。
強い北風で雪が吹き飛ばされてできたと思われる雲が、南側だけに伸びていたのです。
強い西高東低の冬型の気圧配置がそうさせたのだと思いましたが、同時に今、富士山の山頂はどんな状況なのかなということが頭の中を巡りました。数年前の8月に、今も山頂に残っている測候所の観測ドームの所で、日中にも関わらず残っている氷をパリパリと踏んだ記憶があるのですが、夏でも氷が残る場所で、一体今の気温は何度になっているのだろう…。多分猛吹雪で視界は殆ど無いだろうな…というようなことです。

 コアハウス(図書室)に飾ってあるハイイログマ(グリズリー)の写真を撮影された写真家の故星野道夫さんは著書の中で「アラスカの大自然の中で長期間過ごした後、東京に戻ってきて電車に乗ったりしている時にふと、今頃アラスカにいるグリズリーは山の中をのしのしと歩いているのかなと思ったりする。私は市川市の比較的自然豊かな所で幼少期を過ごし身近な自然に親しんで育ったが、遠くにあっても何か自分を支えてくれる「もう一つの自然」というものを持つことができるとよいのではないかと思う」と記しています。
 今年もできれば子ども達に「遠くにあっても何か自分を支えてくれるもの」をあげられるよう、教職員一同で頑張ってまいります。ご協力の程よろしくお願いいたします。



*この文はしらさぎ幼稚園便りH25.1月号の冒頭文です。