すてきな本のご紹介…

 

                                    林 明子 作・絵   福音館書店


                     ここに描かれているのは、古き良き時代のキャンプである。
それは…持っていくものは自分達の力で運べる物のみであり…(従って椅子やテーブルはなく)
キャンプに行くには自分の足で歩いて行き…(車ではなく)
調理をするのは薪…(決してガスやガソリンのツーバーナーではなく)
もちろん、便利な電源などはない。
つまり、ちょっと前に流行ったオートキャンプとはかなり違ったものだ。

これは、ひょっとして筆者の原体験によるものではないかとも思える。つまり主人公の「なほちゃん」が昔の著者なのではないかと…。
キャンプしに行く場所も、無論設備の整ったキャンプ場ではない。従って何もかも自分達でしなければならない。夜中にトイレに行きたくても、電気はついていないし、自分の力でしてこなければならないのだ。

 つまり、「なほちゃん」のような「小さい子」にとって、このキャンプを成し遂げるのはとても努力や勇気がいることなのである。

 このサイトのコラムで何度も触れているが、こういったことが本当の「自然」を体験することである。
「自然」とは何も人間にとって都合の良いことばかりではない。夜は暗いし、雨が降るかもしれないし
灯をともせば嫌な虫もたくさん寄ってくる。でも、子どもにとって「自分に都合がよいことばかりではない中で、自分の力で何とかする」のが、即ちその子の「生きる力」なのではあるまいか…。

 そして、「なほちゃん」は見事にそれを達成する。彼女のこの決して「楽しい」だけではない「体験」から得ることができた「本当の楽しさ」を是非この本から読みとっていただきたい。 そして、子育て中の皆さんは、全く同じようには無理でも、これと似た体験をお子さんにさせてあげることを考えていただきたいと思う。 それは、お子さんの心と体を本当に一回りも二回りも成長させることになるからである。

PS.「なほちゃん」は実は「こんとあき」にも登場している。わかった方は相当の「林 明子」通です。