NO.55 「とても大切な場所…本当の自然保護…」 09.11.24

  これは、ある日の保育日誌の「つぶやき」です。つぶやいた彼は年長組の男の子です。きっととても悲しかったことでしょう。子どもにとって、こういった「秘密の場所」は大人の財産より尊いものかもしれません。何せそこで遊んだ時間は自分にとって最高の時間であり、そして限りなく未来に通じているものなのですから。
 実はこれを書いている私にも同じような思いをしたことが何度かあります。NO.10 「川を見ぬ子ども」 02.3.7 
この時のコラムで書いた川は見沼代用水の東縁(ひがしべり)です。貝がいた川底は勿論、ザリガニの穴があった川岸も今は全てコンクリートで固められ、いわゆる三面護岸の水路となりました。そして川岸には全てフェンスが張り巡らされ、容易に川には近づけません。江戸時代からずっと流れてきた川をコンクリートで全部固めて道路脇の側溝みたいにしてしまうことが果たして必要だったのでしょうか?
また、岩魚(川の最上流部に居る魚)の棲むような山間部の渓流でもこれに似たようなことが全国で行われています。「治水」の名のもとに「親水公園」と称してコンクリートで川を全て固めてしまったり、5年位で土砂で埋まってしまって役に立たなくなる堰堤(小さなダム)を沢山作ってみたり…。とても豊かに生物たちを育んでいた川が無残に壊され、住んでいた魚・虫・植物もすっかりいなくなってしまっているのを見た時は…大変残念でくやしいものです。
 幸いなことに、こういったことに気が付いている人々もいて、ドイツではコンクリートの護岸を自然石でやり直す工事をしているそうですし(自然石の間には生物が住み、また水草も生えて水質も浄化される) またアメリカでは、古くなったダムを壊して元の自然の川に戻すことをしている州もあります。(最良質のコンクリートを使ってもダムの耐用年数は約50年とのこと)日本でもこういった「公共事業」が始まってくれればと少しは希望を持っています。
 以前も述べましたが、「自然を大切にしましょう」「ゴミを捨てないようにしましょう」とかのスローガンを百回唱えるよりも自然の中で楽しく遊ぶ経験をさせた方が、ずっと効果的だろうし、またその子のその後の人生も豊かになるだろうと思います。自分に大きな楽しみを与えてくれるものを、傷つけたり壊したりはしないものでしょうから…。